ボリンジャーバンドで探したいのは、「線に触れたら必ず勝てる場所」ではなく、売買を考える条件がそろう場所です。値動きが静かな時間から大きく動く時間へ変わる様子や、上昇の勢いが続く様子を、価格の線と帯を使って整理できます。利益の候補と、考えを取り消す条件を同じ画面で見てみましょう。

道具の仕組みが分かれば、派手なサインを待つだけの使い方から一歩進めます。この記事では、架空のドル円の例を使い、「なぜ入るか」「何が起きたら間違いと考えるか」を一組にします。図は説明用に作った価格で、実際の相場や運用成績ではありません。

帯は、最近の価格に合わせて伸び縮みする

ボリンジャーバンドは、価格のを中心に、上と下へ帯を置く道具です。最近の価格がまとまっていれば帯は狭くなり、ばらつきが大きければ広がります。ジョン・ボリンジャー本人の説明では、標準の設定は20期間の平均と、その価格のの2倍です。考案者の説明

例えば、価格の平均が100、標準偏差が1という架空の組み合わせなら、上の線は102、下の線は98です。標準偏差が2へ大きくなると、平均が同じでも線は104と96へ広がります。帯の幅を変えているのは、強気や弱気という気分ではなく、選んだ期間に入っている価格の数字です。

「期間」は、選んだチャートの20本分という意味です。1本が1日なら20日分、1本が5分なら20本分です。標準偏差は、価格が平均からどれくらい離れて散らばっているかを表す数字。難しい計算を覚える前に、「散らばるほど帯が広がる」と読めれば、図の意味を追えます。

たとえるなら、歩いた跡を見て、その人がどれくらい左右へ動いたかを示す帯です。帯が広いのは、最近大きく動いたという情報です。未来に歩く道を囲った柵ではありません。上の線に触れたから行き止まり、という読み方はできません。

狭い帯から広い帯へ、何を観察する?

価格が小さな範囲を行き来し、帯も狭くなった状態をと呼びます。大きく動くきっかけを探す観察点にできますが、狭くなっただけでは、上と下のどちらへ進むかは決まりません。横ばいが長く続く場合も考えておきます。

架空のドル円が、150.00円付近で静かに動いた後、150.20円を超えたとします。「帯が広がり、直前の高値も超えたら、上への動きを観察する」というルールを仮に作ります。高値とは、見ている範囲で最も高かった価格です。使う範囲を先に決めると、後から都合よく線を引き直しにくくなります。

架空のドル円に20期間平均と上下2標準偏差の帯を描き、静かな局面から上方向へ動いて帯が広がる局面を示す

図1:独自に作った架空価格。20本の平均と上下2標準偏差で作図。黄色は価格、紫は帯。狭い帯は観察の入口で、上昇を約束する印ではありません。

ここで見るのは、帯の幅だけではありません。直前の高値を超えたか、その後に元の範囲へ戻ったか、取引する時間がどれくらいあるかも書きます。すべてを一度に当てようとせず、「この条件なら観察を始める」と決めると、同じ基準で例を比べられます。

利益の候補には、取り消す条件を添える

次の架空例では、1万ドルを150.20円で買い、150.40円で終える目標を考えます。予定どおりなら、0.20円×1万ドル=2,000円の利益です。一方、150.10円へ戻ったら考えが外れたとして終了する予定なら、0.10円×1万ドル=1,000円の損失になります。どちらも費用と税金を含みません。

価格が150.20円を超えたのにすぐ戻るなら、「上への動きが続く」という考えを弱める材料になります。このように、入る前に取り消す条件を書きます。上がったときの図だけを集めると、同じ形で負ける道筋が見えなくなってしまいます。

150.20円で買う架空例から、150.40円へ上がり利益2000円となる道と、150.10円へ戻り損失1000円となる道を並べた図

図2:同じ入口から分かれる二つの架空例。1万ドル、費用・税金なし。図中の終了価格で取引できるとした算数であり、実際の成立価格を保証しません。

この例は「1,000円を失っても、2,000円を狙えば得だ」という結論ではありません。何回成功するか、実際にどこで終了できるか、費用がいくらかで合計は変わります。例えば2,000円の勝ち1回と1,000円の負け2回なら、費用を入れる前でも合計ゼロです。

また、150.20円で1万ドルを買う取引全体は150万2,000円です。口座へ預けるとは別の金額です。日本の個人向け店頭FXで証拠金率4%なら、最低証拠金の計算は6万80円。ただし、この最低額だけで損失に耐えられるとは限りません。必要額は業者の条件でも確認します。表示する線は同じでも、1,000ドルなら、この例の利益と損失はそれぞれ10分の1になります。図の形だけでなく、自分が動かす金額へ直すと、取引の大きさをつかめます。

上の線に沿って進むこともある

「上の線へ来たら売る」と決めていると、価格が上の帯に沿って上がり続ける場面で困ります。帯に沿って動く様子をと呼びます。線そのものも、直近の価格に合わせて動くため、触れた場所が天井になるとは限りません。

考案者の公式ルールも、帯への接触だけでは売買の合図にならず、方向感のある相場では帯に沿って進むことがあると説明しています。大事なのは「高い場所にいる」と「これから下がる」を分けること。現在地の情報と、次の動きの予想は別です。公式ルール

練習では、上昇している例だけでなく、上下を行き来する例も並べてください。帯が広がったとき、上側へ触れたとき、平均へ戻ったときに、その後どうなったかを記録します。良さそうな場面を見つけることと、そこで利益が残ることを分けて確かめられます。

実際のケース:考案者の会社は何と組み合わせる?

実在する運用会社Bollinger Capital Managementの公式説明を見ると、株式を選ぶ際に、ボリンジャーバンドだけでなく、業種や市場の区分を使うモデルも用いています。相場状況に応じて、ほかの要因や道具も考慮するとしています。一本の指標だけで結論を出す運用説明ではありません。同社の運用方針

これは米国の会社が公表する株式運用の方針で、日本の個人の短期FXの成績ではありません。この記事の架空ルールを同社が使っているとも確認していません。参考にしたい点は、「帯を見た後に、別の材料も確認する」という考え方です。会社の存在を、そのまま利益の保証には置き換えられません。

自分の観察なら、別の材料を増やしすぎず、一つから始められます。例えば「直前の高値を超えたか」と「超えた後に戻ったか」を同じ時間幅で見る方法です。これはこの記事の練習案です。正解の設定として固定せず、負ける例も含めて記録し、自分が理解できる条件に絞っていきます。

記録では、その時点より先の価格を隠して考えてみてください。完成したチャートを見れば、上がった場所に理由を付けるのは簡単です。先が見えない位置で条件を書き、その後の値動きを少しずつ開くと、実際には迷う場面があると分かります。正解を探すより、迷った理由を残す練習にしてみましょう。

まとめ:帯を、売買の理由を言葉にする道具へ

ボリンジャーバンドは、最近の価格の中心と散らばりを示します。静かな状態、動き始め、勢いの継続を整理する助けになりますが、次の利益は決めません。入りたい理由、取り消す条件、損益の円額までそろうと、「チャンスに見える」を具体的な検討へ進められます。

次は、同じ条件で十個の場面を集める

自分のチャートで、帯が狭まった場面を十個探し、上・下・横ばいにどう分かれたか観察してみましょう。十個で手法の有効性が証明できるわけではありませんが、思い込みに気づく練習になります。で注文も試し、比較ページでチャート機能、最小取引単位、費用を確かめてください。