FXの利益は、「予想が当たった」だけでは決まりません。どの通貨を、いくらで、何ドル売買し、いくらで終えたかで金額が決まります。まずは1,000ドルの取引を円の算数に直すと、利益と同じ条件で損失も見えてきます。この記事では、仕組み、費用、預けるお金と動かす金額の違いを順に確かめます。
FXは、二つの通貨の交換比率を売買する取引
は、証拠金を預け、円とドルなど二つの通貨の価格の変化をもとに売買する金融商品です。ドル円が「1ドル=150円」なら、1ドルに対して円が150円という交換比率を示します。この比率を為替レートと呼びます。
たとえるなら、外国旅行の両替所の値札です。同じ100ドルでも、1ドル150円なら1万5,000円、151円なら1万5,100円。ドルの数が同じでも、円に換えた金額は動きます。ただしFXは、旅行用の紙幣を受け取る両替そのものとは違います。預けたお金を土台に売買し、反対の売買で終えると、価格差などによる損益が確定します。
ドル円を買うとは、ドルを買い、円を売る側の取引です。買った後にドル円が上がれば利益の方向、下がれば損失の方向です。ドル円を売るところから始める取引もあり、その場合は下落が利益、上昇が損失の方向になります。上がるか下がるかを見る前に、自分はどちらの側かを確認します。
1円動くと、いくら増減する?
ここからは独自の架空例です。自己資金を10万円とし、そのうちの資金を使って1,000ドルを150円で買うとします。午前10時に買い、同じ日の午後に取引を終える設定です。1,000ドルは、この取引で売買する通貨の数量を表します。
151円で売って終えられれば、1ドル当たり1円高く売れるので、1円×1,000ドル=1,000円の利益です。149円で終えれば、1円×1,000ドル=1,000円の損失。同じ数量なら、同じ1円の動きによる増減は表裏です。どちらも、まず費用と税金を含めずに計算しています。

図1:独自の架空価格。1,000ドルを同じ日中に売買する計算です。費用・税金なし。線は今後の相場予測や実績ではありません。
数量を1万ドルにすると、同じ1円の動きで利益も損失も1万円になります。「値動きが小さいから平気」とは言えません。買う数量が増えると、同じ画面の小さな動きでも、自分のお金の増減は大きくなるからです。数量、価格差、円額を一緒に書く習慣を付けましょう。
手数料が無料でも、費用はゼロとは限らない
画面には通常、買うための価格と売るための価格があり、その差をと呼びます。例えば、売る価格が150.00円、買う価格が150.02円なら差は0.02円です。同じ瞬間に買ってすぐ売る架空の計算では、0.02円×1,000ドル=20円の損失になります。
先ほどの図1は値動きだけを取り出した算数です。仮に、売買一組の費用を合計20円として別に差し引くなら、利益の例は980円、損失の例は1,020円になります。この20円は特定の業者の料金ではありません。また、実際の買値と売値の差を含めて損益を計算した場合に、同じスプレッドをもう一度引かないようにします。
注文時に見た価格と、成立した価格がずれるもあります。金利差などを調整するお金は、日をまたぐ条件などに応じて受け取りにも支払いにもなります。この記事の当日例では、その調整額をゼロと仮定しています。別途手数料の有無も含め、口座と取引日の条件を確かめてください。
預けた10万円と、取引15万円を区別する
1,000ドルを150円で売買する取引金額は15万円です。自己資金10万円で15万円の取引をしているなら、倍率は15万円÷10万円=1.5倍。この倍率がです。利益が出る確率ではなく、自己資金に対してどれほどの金額を動かすかを示します。
口座に預け、取引の担保にするお金がです。金融庁の説明では、日本の個人向け店頭FXは取引金額の4%以上の証拠金が必要です。15万円の4%は6,000円ですが、それが十分な元手という意味ではありません。業者の必要額や強制終了の条件も別にあります。金融庁の説明

図2:架空のドル円150円、1,000ドルの例。最低証拠金は4%として計算した参考額です。自己資金、取引金額、必要額は同じ数字ではありません。
「6,000円で15万円を買える」とだけ聞くと、残りの金額を忘れがちです。しかし、値動きによる損益は15万円分の取引から生まれます。6,000円の4%ではなく、1,000ドルが何円動いたかで計算します。最低額を知ることと、自分が耐えられる取引量を決めることは別の作業です。
損失が一定の条件に達すると、業者が取引を強制的に終えるがあります。金融庁は、急変時には証拠金以上の損失もあり得ると説明しています。これは保険のように「必ず預けた額までで止まる」仕組みではありません。生活費とは分け、終了したい価格で終えられない場合も考えます。
実際のケース:業者の基本説明にも費用と損失が並ぶ
外為どっとコムの公式入門ページは、通貨を売買して価格差の利益を狙う仕組みとともに、保証金以上を取引できる特徴を説明しています。同じページには、同社の売買手数料は0円でも売値と買値に差があることや、保証金を超える損失の可能性も示されています。公式のFX入門
ここで確認したのは、実在する業者が公表している商品の説明です。その会社の利用者がいくらもうかったかを示す資料ではなく、図1の結果がその口座で得られるという意味でもありません。「少ない資金で大きな額を動かせる」と「その分、損失も動く」を一緒に読む実例にできます。
公式ページを読むときは、見出しの魅力的な数字の後にある注意書きまで目を通します。最小取引数量が1,000通貨なら、ドル円では何ドルなのか。取引金額はいくらか。スプレッドが広がる時間や、強制終了の判定方法はどうか。一つずつ、自分の算数につながる条件を探します。
さらに、利益がまだ確定していない状態も分けて考えます。買った後に画面が1,000円のプラスでも、まだ取引を終えていなければ、その表示額は動きます。売って取引を終える操作がです。見るだけの練習でも「今の表示」と「実際に終えた結果」の欄を分けると、途中の最高利益を自分の収入のように数えずに済みます。
長く持つ予定なら、同じ日中の例をそのまま使わず、保有する日数や金利差の調整額も書き加えます。期間が変われば確認する条件も変わるため、まずは一つの設定で計算を最後まで通してみましょう。
まとめ:FXは、数量と費用まで含めて考える
FXは二つの通貨の価格差などから損益が生まれる取引です。1,000ドルなら1円の動きは1,000円の増減となり、数量を増やせば損失も増えます。預ける証拠金と実際の取引金額を分け、費用を引いた後の円額で考えると、利益の話を具体的に読めるようになります。
次は、三つの価格で損益を書いてみる
150円で1,000ドルを買うとして、150.50円、150円、149.50円で終えた場合を紙に書き、仮の費用20円も引いてみましょう。では数量と終了操作を確かめ、比較ページで最小数量、費用、ロスカットの条件を比べてください。