**勝率40%でも合計がプラスになる計算はありますが、利益と損失の大きさ、費用がそろって初めて言えることです。**予定の比率を決めただけでは、その勝率も利益も手に入りません。この記事では、架空の20回を使い、計画と結果を分けて取引ノートへ残す方法を検算します。

高い勝率を見て魅力を感じたときも、1回の損失、途中の大きな落ち込み、費用、取引した期間を確認する必要があります。小さな利益を何度も得て、大きな損失が一度あるだけで、合計は変わります。勝った回数だけでは必要な条件が足りません。

損益比率は、予定する幅の比較

は、損失と利益を比べる呼び方です。資料によって順番が違うため、本記事では「損失1に対して利益3」のように明記します。予定損失1,500円、利益目標4,500円なら1対3です。

陸上の練習で、1周の速さと走り切れた周数を別に記録するのと似ています。大きな目標を置いても、その目標に届いた回数までは決まりません。目標を遠くすれば、到達する前に戻る場合もあります。

また、利益目標に触れたことと、実際にその値で取引を終えたことは別です。数量、注文条件、価格のずれ、途中で終えた判断により、手元に残る損益は変わります。予定の比率と実際の平均を混同しないようにします。

架空の20回を、円で合計する

資金30万円で、期間を4週間と仮定した20回の取引を考えます。各回は費用前に4,500円の利益か1,500円の損失となり、1回の費用は往復で150円とします。実在の運用結果ではなく、算数の前提です。

20回中8回勝ち、12回負ければ勝率は40%。利益の合計は3万6,000円、損失の合計は1万8,000円、費用は3,000円です。差し引き1万5,000円のプラスとなります。

架空の4週間20回8勝12敗で利益36000円損失18000円費用3000円、手残り15000円を示す図

図1:架空の4週間20回、8勝12敗。8×4,500円−12×1,500円−20×150円=15,000円。資金30万円の実績や将来予測ではありません。

この前提なら資金に対して5%ですが、それを毎月再現できるとは言えません。短い4週間の数字から年率を作ったり、生活費を払える確実な収入へ置き換えたりはできません。数量を増やせば、逆方向の損失も同時に増えます。

同じ条件で4回しか勝てなければ、費用後は9,000円のマイナスです。勝率20%の別の仮定へ変えると結果も変わります。1対3という目標比率だけからプラスを決めることはできません。

収支ゼロの境目にも、費用を入れる

費用後の勝ち1回は4,350円、負け1回は1,650円です。合計がゼロになる勝率の境目は、1,650円を4,350円と1,650円の合計6,000円で割った27.5%になります。

利益4500円損失1500円費用150円の架空条件で費用後の勝率と平均損益を描き収支ゼロ27.5パーセントと示す図

図2:独自の架空条件の費用後平均損益。利益4,500円・損失1,500円・費用150円なら収支ゼロの勝率は27.5%。実際の勝率がこの値を超える保証はありません。

費用がなければ境目は25%です。費用を無視して「4回に1回勝てばよい」とすると、現実の負担を落とします。スプレッドが実際の開始・終了価格の差に入っている場合は、それをさらに費用として二度引かないようにします。

勝つ割合に平均利益を掛け、負ける割合に平均損失を掛けて差を取る考えをといいます。1回当たりの平均を整理する値であり、次の1回がその円額になるという意味ではありません。

この式に入れるのは、目標の4,500円ではなく実際に得た平均利益という使い方も重要です。途中で終えた回ばかりなら平均利益は小さくなり、価格のずれで平均損失が大きくなれば、予定の比率から離れます。

連敗が先に来る経路も考える

同じ8勝12敗でも、順番は同じとは限りません。負けが12回先に並べば、この単純な固定額の例では費用込みで1万9,800円減ってから勝ちが来ます。利益の合計だけでは、その途中を耐えられるかは分かりません。

資金に対して一定割合で数量を変える方式なら、順番と残高によって損益も変わるため、この固定額の足し算とは別の計算が必要です。途中で資金を追加したり、数量を変えたりした場合も欄を分けます。

過去20回で40%だったことは、未来も40%で続く根拠にはなりません。少ない回数は偶然の偏りも大きく、相場や費用の条件も変わります。件数、期間、対象の市場を数字と一緒に出すことが大切です。

ノートは、結果を見る前の条件を残す

には、日時、通貨ペアや銘柄、時間足、数量、開始理由、予定の終了価格、利益目標、実際の価格、費用、最終損益を残します。紙や表計算から始められ、専用アプリが必須ではありません。

開始理由は、「そろそろ上がりそう」だけでなく、後で同じ条件を確認できる事実で書きます。たとえば「1時間足の終値が昨日の高値を上回った」を事前に残せば、未来を知った後の言い換えを減らせます。

画像を残すなら、開始時点の画面と終了後の画面を分けます。開始時点でまだなかった線や、後から確定した山を根拠へ足さないようにしましょう。予定を変えた場合は、元の予定と変更時刻の両方を残します。

成功例の抜き出しを、検証と呼ばない

大きく勝った日だけを集め、負けた日や途中でやめた回を落とすと、勝率も平均損益もよく見えます。対象にする期間と条件を先に決め、その範囲の回を欠かさず記録します。未成立の注文や見送りは、成立取引と分けた欄へ残します。

また、利益になったかと、事前の決まりを守ったかは別です。終了価格を遠ざけて偶然利益になった回も、計画どおりの取引と同じ箱へ入れないようにします。結果がよかったから次も正しい、とは言えません。

違う時間足や違う数量を一つの平均へ混ぜるなら、その違いを明示する必要があります。最初は対象を絞り、条件ごとの件数も見える形にすると、何を比べたのか説明しやすくなります。

実際のケース:CMEの取引計画と記録の教材

CME Groupの公式教材「Keep a Trade Log」には、目標、開始と終了の位置、時刻、取引した理由などの記録と、一日の振り返りが紹介されています。実在する取引所グループが公開する、記録の項目の例です。

同社のリスク管理と取引計画の教材は、1回の最大予定損失や1日の損失などを計画に含める考え方を扱います。記録と資金管理を一緒に見る参考になります。

ただし、教材の紹介は、ノートを書いた人の利益を証明するものではありません。本記事の20回と損益の数字は独自に作った架空条件で、特定の業者や利用者の実績ではありません。

まとめ:予定比率と、実際の平均を分ける

損益の合計は、勝つ回数、平均利益、平均損失、費用で変わります。目標の1対3を実績の比率に置き換えず、全回の条件と途中の損失も残すことが基本です。期待値がプラスだった過去も、未来の利益の保証にはなりません。

次は、自分の口座で履歴の項目を確認しよう

取引履歴に開始価格、終了価格、数量、費用がどこまで出るか調べます。まだ売買していなければ、仮の計画を作り、開始前の条件と後日の結果を分けて記録してください。見送りも別欄へ残せます。

口座を探す人は、履歴の出力、費用の内訳、練習取引の使いやすさを口座・ツールの比較で確かめましょう。取引ノートで損失がなくなるわけではありません。利益額を増やす前に、その数字が成立する条件を説明できることを目標にします。