RSIが30より下でも、価格がすぐ上がるとは限りません。RSIは、最近の値動きで上昇と下落のどちらが強かったかを、0〜100の数字に整理する道具です。買い時を自動で教える時計として使うより、「下げる力が続いているか」と問い直す入口にすると、数字の意味を見失いにくくなります。

RSIとは、上げ幅と下げ幅の力比べ

はアールエスアイと読み、日本語では相対力指数と呼びます。難しく感じますが、材料は価格の上げ幅と下げ幅です。終値とは、1本の足が終わったときの価格。隣り合う終値の差を調べ、上がった分と下がった分を別々に集めて比べます。

たとえるなら、綱引きの両チームが最近どれだけ引いたかを比べるメーターです。上へ引く力が大きければ数字は高くなり、下へ引く力が大きければ低くなります。ただし、力が強かったチームが次も勝つか、疲れて負けるかまでは、このメーターだけで決まりません。

よく使われる観察の目安は30と70です。70より高い状態を買われ過ぎ、30より低い状態を売られ過ぎと呼びます。ここでいう「過ぎ」は、値上がり・値下がりが目立ったという意味で使われます。商品の適正価格を計算した数字でも、反対方向へ動くまでの残り時間でもありません。

14という設定は、何を14個見る?

よく使われる期間は14です。1時間足なら14時間分の価格変化、日足なら14日分の変化が最初の計算材料になります。14回の変化を求めるには、出発点も含めて15個の終値が必要です。同じドル円でも、1時間足と日足のRSIは別の時間幅を見ています。

この記事の図では、ワイルダー式という計算法を使います。最初は14回分の上げ幅・下げ幅をそれぞれ平均し、その後は「前の平均×13+今回の幅」を14で割って更新します。古い動きを少しずつ薄めながら、新しい動きを加える方法です。

上げ幅の平均をA、下げ幅の平均をBとすると、RSIは100×A÷(A+B)です。例えばAが0.02円、Bが0.08円なら20。AとBがともに0.05円なら50です。「価格が20円」という意味ではなく、上げ幅が両方の合計のどれくらいを占めるかを表します。

図の計算では下げ幅がゼロで上げ幅があれば100、上げ幅がゼロで下げ幅があれば0とします。両方ゼロなら便宜上50にします。まったく動かない場合の表示や、最初の値の作り方はツールでも確認してください。どの計算法でも同じ表示になるとは限りません。

30を下回った後も、下げ続ける例

架空のドル円が、小さく戻りながら少しずつ下がる場面を作りました。RSIは30より低くなりますが、価格はその後も下がっています。「売られ過ぎだから買う」と決めると、この続きの下落を受けることになります。

独自の架空ドル円とワイルダー式14期間RSIを並べ、30未満が続く間も価格が下がる様子を示す

図1:実データではない自作の価格。1本は1時間、RSIはワイルダー式14期間。最初の14回の変化が集まるまでRSIは描かず、初期化後の値を表示しています。黄色の水平線は30の目安です。

米国の金融会社Fidelityの公式ガイドも、強いトレンドでは、買われ過ぎ・売られ過ぎの状態が長く続く場合があると説明しています。高い数字を見て売り、低い数字を見て買うだけでは、流れの強さを見落としかねません。

RSIが30を下から上へ戻っても、価格が再び下がる場合は残ります。価格の谷が切り上がったか、直前の高値を超えたかなど、確認したい条件を先に書きます。条件を増やせば必ず勝率が上がるともいえないので、何を見たかを短く残すことから始めます。

数字の合図を、利益と損失へ置き換える

当日中に終了する架空の練習を考えます。元手10万円で、1万ドルを149.80円で買うと仮定します。理由は「RSIが低い状態から戻り、価格にも小さな反発が見えた」です。この理由が正しかったという実績はなく、注文前に条件を言葉にする例です。

150.00円で終了できた場合は、0.20円×1万ドル=2,000円の利益です。別途の手数料を仮に1往復200円とすると、残りは1,800円。149.70円で終了できた場合は、0.10円×1万ドル=1,000円の損失で、手数料を加えると1,200円の損失になります。売値と買値の差であるスプレッドは成立価格に含め、別途の手数料だけを引く例です。金利の受け払いと税金は除きます。

149.80円で1万ドルを買う架空例の二つの結果を、費用差引後1800円の利益と1200円の損失で示す

図2:元手10万円、数量1万ドル、当日終了、別途手数料が1往復200円の架空計算。両方とも図の価格で成立する仮定です。RSIの値から、どちらの結果になる確率も計算していません。

取引全体の金額は149万8,000円で、元手の約15倍です。RSIが20か50かと、この取引量の大きさは別の話です。数字が低いほど安心して多く買える、とはいえません。数量が2倍なら、同じ値幅による利益と損失も2倍になります。

また、予定した価格でできるとは限らず、急変時は損失が広がる場合があります。有利な例と不利な例を一つずつ示しただけでは、長く続けて利益が残るかも分かりません。実際の費用と、失敗した例も含む回数をそろえて確認します。

実際のケース:公式ツールは時間足をどう扱う?

OANDAのRSIの公式解説には、複数の時間足のRSIを見る「OANDA_Multi_RSI」が紹介されています。短い時間の数字と長い時間の数字を同時に観察するという、実在するツールの使い方です。14期間が一般的な設定であることも説明されています。

この事例から読み取れるのは、RSIの数字を時間足と組にして扱う必要があるという点です。短い時間で戻り始めても、長い時間では下落の勢いが続くかもしれません。同時表示できることが、利益の証明になるわけではありません。この記事で同ツールを口座上で動かしたとは主張していません。

計算法にも注意します。株式ソフト「イザナミ」の公式計算ガイドは、指定期間の合計を使うカトラー式と、前回の平均を引き継ぐワイルダー式を区別しています。この記事の図は後者です。同じ14でも、方式が違う画面を比べると、数字がずれる理由になります。

練習ノートには、通貨ペア、時間足、期間、計算法、判断した時刻を残します。あとから一番よく見える期間だけを選ぶと、過去に合わせただけになることがあります。最初の設定を固定して観察し、変更するなら理由と変更前の結果も保存しましょう。

さらに、足が完成する前の数字は価格とともに変わります。途中で30を超えても、終了時にはまた下へ戻ることがあります。「30を超えた瞬間」と「足の終了時に30以上」を区別し、どちらを使ったかも記録すると、見直すときの食い違いを減らせます。

まとめ:RSIの数字には、見た時間を添える

RSIは最近の上げ幅と下げ幅の力比べです。30や70は観察の目安で、反転を約束しません。時間足、期間、計算法をそろえ、価格の動きと数量・費用も一緒に見ると、数字一つで売買を決める前に考える材料が増えます。

次は、30を下回った後を観察する

のチャートで、RSIが30を下回った場面を探し、その後も下がった例と戻った例を残してください。注文は少ない数量から練習できます。比較ページでRSIの設定変更、デモ機能、最小取引単位と費用を確かめ、自分で同じ条件を再現できる画面を選びましょう。