株式とは、会社の持ち主の一人になるための権利です。利益を考えるときは「値上がりしたら何円増えるか」だけでなく、「値下がりしたら何円減るか」も一緒に見ます。この記事では、株を持つ意味、お金が増減する仕組み、買う前に確かめたいことを図でつなげます。

「株はお金持ちだけのもの?」「安い株なら買っても大丈夫?」と感じるかもしれません。最初に必要なのは、難しい会社の分析ではなく、何をいくら分持つのかを説明できることです。まずは架空の会社を使い、紙の上で持ち主になる体験をしてみましょう。

株は「会社の小さな持ち分」

友達とパン屋を始める場面を想像してください。オーブンやお店を用意するために、お金が必要です。何人かでお金を出し合い、それぞれが会社の持ち分を持つ。株式会社は、この持ち分に関する権利を株式として発行します。株式を持つ人が「株主」です。

ここで、お金を貸すこととの違いがあります。貸したお金は、約束した条件で返してもらうものです。一方、株式は会社から元のお金を返してもらう約束ではありません。会社がうまく育つ可能性を引き受けると同時に、うまくいかない可能性も引き受けます。

会社が新しく株を発行して集めたお金は、設備や事業などに使われます。その後、取引所で誰かの持つ株を買うとき、お金は基本的に売った人へ渡ります。「株を買うたびに、その代金が直接会社へ入る」というわけではありません。この二つを分けると、ニュースも読みやすくなります。

会社が新しい株を発行して資金を集める場面と、投資家同士が株を売買する場面を並べた関係図

図1:編集部の模式図。新しい株の発行と、発行済みの株の売買を区別しています。実在会社の取引ではありません。

持ち主になると、何ができる?

株主には、会社の大切な決め事について投票する権利などがあります。これをといいます。会社が開く株主総会で役員を選ぶ、といった場面です。ただし、株の種類や持っている数量によって条件が違い、1株を買えばすべてに参加できるとは限りません。

会社の利益などから分けられるお金がです。会社によっては商品やサービスなどの株主優待もあります。ただ、配当も優待も約束されたおまけではありません。以前あったものが減ったり、なくなったりする場合があります。配当が多いことだけで、安全とは決められません。

会社の成績がよくなると、今後への期待から株が買われる場合があります。一方、すでに大きな期待が価格に含まれていれば、よい発表でも下がることがあります。株価は通知表の点数だけで決まる数字ではなく、売りたい人と買いたい人が取引して決まる値段、と考えてみてください。

1,000円の株なら、必要なお金は1,000円?

日本の取引所で売買する国内株式は、基本の売買単位が100株です。1株1,000円なら、100株で10万円になります。ほかに手数料などが必要な場合もあります。証券会社によっては1株などから買うサービスもありますが、対象の株、取引できる時刻、価格の決め方はサービスごとに確認します。

「1株の値段が安いから割安」とも限りません。株数を分ける株式分割が行われれば、会社全体が急に小さくならなくても、1株の値段は調整されます。500円の株と5,000円の株を比べるときも、値段だけで会社のお得さを決めず、何をする会社で、何株買うかから調べましょう。

10万円を使うと、利益と損失はいくら?

ここからは架空の算数です。現金で、1株1,000円の株を100株買ったとします。使う代金は10万円です。1,100円で全部売れれば、値上がり分100円×100株で1万円の利益。900円なら、値下がり分100円×100株で1万円の損失になります。

売買を合わせた手数料を仮に500円とすると、利益は9,500円、損失は1万500円です。税金と配当金は計算に入れていません。この500円は特定の証券会社の料金ではなく、費用の影響を知るための仮定です。実際の料金表や条件を別に確認してください。

1株1000円で100株購入し、1100円か900円で売れた場合の損益を往復費用500円込みで比べる図

図2:架空の株式・価格・手数料。予定の値段で売れたと仮定した計算です。税金・配当なし。利益の予測ではありません。

株を持っている間の画面上の増減と、実際に売った後の利益や損失も分けます。10万円が11万円と表示されても、売る前に価格が下がる場合があります。また、注文を出せば必ず画面の値段で売れるわけではありません。売買する相手や価格の条件も関係します。

実際のケース:取引所が売買単位をそろえた

日本取引所グループの発表によると、2018年10月1日に国内株式の売買単位が100株へ統一されました。これは利益を出した人の話ではなく、実際の売買の仕組みが変わった例です。株価だけでなく、数量にも目を向ける理由になります。

株主の権利については、東京証券取引所の教材でも学べます。本文では「会社の小さな持ち分」と表しましたが、会社の商品を勝手にもらったり、店の売上を直接引き出したりできる権利ではありません。持ち主でも、決められた仕組みに沿って関わります。

チャートと会社の説明は、一緒に読む

株価の動きを描いたは、いつ値段が変わったかを調べる道具です。ただ、線の形だけでは、その会社が何を売り、どうして利益を出しているかまでは分かりません。パン屋なら、パンの売れ行き、材料の値上がり、新しい店の費用なども関係します。

例えば「最近よく上がっているから」とだけ書くより、「どんな商品が売れているかを会社の資料で調べ、そのうえで価格の動きを見る」と手順を分けます。調べても判断できなければ、買わずに観察を続ける選択もできます。人気のグラフを見つけることと、自分が持つ理由を説明することは、別の作業なのです。

買う前に「何のためのお金か」を分ける

会社が経営を続けられなくなるなどして、買った株の価値を大きく失う場合があります。ここで説明したのは、借りたお金を使わず現金で買う現物取引です。お金や株を借りる信用取引は仕組みもリスクも違うため、同じ例として扱いません。

生活費や近いうちに必要なお金まで、一つの会社へまとめて使わないことも大切です。金融庁の教材は、資産を複数に分けるなどを紹介しています。分ければ必ず損をしないわけではありませんが、一つへの集中を考え直す材料になります。

まとめ:株は持ち分、利益は条件付き

株式を持つと、会社の持ち主の一人になります。値上がりや配当を期待できますが、元のお金や利益の保証はありません。「1株の値段×株数」と、上がった場合・下がった場合の両方を計算できれば、見える数字の意味がつかめます。

次は、身近な会社を一社だけ調べよう

普段使う商品を作る会社を選び、何を売っているか、株価はいくらか、100株ならいくらかをノートへ書いてみましょう。まだ購入する必要はありません。確認する日も書き、後で価格が変わったときの理由を調べると、会社とグラフがつながります。

自分でも始めたいと思ったら、取引したい数量、手数料、会社情報の調べやすさを口座比較のポイントで確かめてください。実際の購入前には、口座の条件と、失っても生活に困らない資金の範囲を整理しましょう。