サポートとレジスタンスは、価格が止まった場所を整理する観察の道具です。線を引けば次の値動きが決まるわけではありません。「ここで戻ればどうするか」「ここを抜ければどうするか」を同じ条件で考えるために使います。線の名前を覚えるだけでなく、取引量と費用を入れて利益と損失を比べてみましょう。

例えば、何度かボールが跳ね返った床と天井を想像してください。ただし相場の床や天井は、コンクリートではなく、人の注文でできています。注文が変われば通り抜けることもあります。過去に止まったという事実と、次も止まるという予想を分けるのが出発点です。

下の支えと、上の壁を区別する

は、下がってきた価格が止まりやすいと考える水準です。日本語では支持線と呼びます。は、上がってきた価格が止まりやすいと考える水準で、抵抗線とも呼びます。どちらも、すでに確認できる高値や安値を手がかりに引きます。

の縦は価格、横は時間です。ドル円が150.00円付近で何度か下げ止まり、150.60円付近で何度か上げ止まったなら、下と上の二か所を観察できます。ただし150.00円ちょうどだけに意味があるとは限りません。149.98〜150.02円のような小さな幅として見る練習もできます。

価格の細かな差が気になったら、使う幅も記録に残してください。まずは水平な線だけで十分です。斜めに引く方法もありますが、線を増やすほど上手になるわけではありません。この記事では、同じ長さの時間で価格を区切り、その時間の最後の価格である「終値」を比べます。線を引く材料に、まだ起きていない高値や安値は使いません。

架空のドル円が150.00円の支持水準と150.60円の抵抗水準の間を動き、その後に抵抗水準を超える様子

図1:独自の架空価格。横軸は15分ごとの観察、縦軸は円/ドル。線は過去の折り返しから先に決めた水準です。通過後の上昇を保証しません。

線を抜けたら、役割が変わることがある

価格が注目する線を上や下へ越える動きをと呼びます。上の壁だった150.60円を越え、その後に同じ付近へ戻って下げ止まるなら、今度は下の支えとして働いたと観察できます。反対に、下の支えを割った後、その場所で上昇が止まる場合もあります。

ここで注意したいのは、「越えた」と「越え続ける」の違いです。一瞬150.61円になっても、その15分の終値が150.55円なら、終値では壁の内側です。「15分の終値が150.60円より上なら観察を進める」と先に決めれば、その場の気分で判定を変えにくくなります。

終値を待っても、成功が確定するわけではありません。待っている間に価格が進み、買いたい値段から離れることもあります。確認を増やすことには、早めに取引する機会を減らす面もあります。どちらが自分の記録に合うかを、費用も含めて比べる必要があります。

架空の1万ドルで、二つの道を計算する

自己資金20万円の練習口座を想定します。150.60円を上回る15分の終値を確認した後、次の時点の基準価格150.65円で1万ドルを買う架空例です。取引全体の大きさは150万6,500円で、自己資金の約7.53倍です。線が近いから小さな取引とは限りません。口座のお金が同じでも、買う数量を二倍にすれば、同じ値幅による損益も二倍です。観察に使う線と、引き受ける損失の大きさを別々に決めます。

有利に動き、同じ日の151.05円で終了できたとすれば、値幅の利益は0.40円×1万ドル=4,000円です。ここから往復の費用を仮に200円引くと3,800円。一方、元の範囲へ戻り150.45円で終了する道なら、0.20円×1万ドル=2,000円の損失に費用200円が加わり、最終損失は2,200円です。

計算の価格は売値と買値の中間に当たる基準価格とし、相当の往復費用を200円として別に引きました。これに加えて同じスプレッドを二重に引く想定ではありません。別途手数料、税金、翌日への持ち越しは含めず、表示価格で終了できる仮定です。

150.65円で1万ドルを買う共通の入口から、151.05円で費用後3800円の利益となる道と150.45円で2200円の損失となる道

図2:二つの独自の架空経路。15分ごとの基準価格、1万ドル、往復費用200円。途中で線へ戻ることもあり、実際の成立価格を示す図ではありません。

150.45円は、間違いと考える目安として事前に決めた価格です。の注文を入れていても、その価格で必ず終了できるとは限りません。急な値動きで成立価格がずれるがあれば、2,200円を超える損失も起こり得ます。

利益のほうが大きい例でも、それだけで有利な手法とは言えません。同じ条件で1勝2敗なら、3,800円−2,200円×2=マイナス600円です。勝った図だけを選ぶと、この違いが見えなくなります。数量を1,000ドルへ減らし、費用も数量に比例すると仮定すれば、損益は10分の1です。

実際のケース:証券会社の線の表示を読む

OANDA証券の公式教材には、OANDA_Support_Resistanceという、過去の支持・抵抗の水平線を自動表示する道具の利用例があります。短期・中期・長期の区別を示し、終値が注目する線を越えたかを確認する手順が説明されています。公式の利用例

これは実在する道具と教材のケースで、利益を出した人の運用実績ではありません。自動で線が出ることは、将来そこが必ず働くことを意味しません。また、この記事の150.60円という水準や費用条件は独自の架空例で、同社の推奨価格や提供条件ではありません。

SBI FXトレードの教材も、下側の支えと上側の抵抗を説明し、水平な線以外に斜めの線もあることを示しています。二つの公式教材を比べると、線そのものより「どの価格を材料にして、いつ判定するか」をそろえる大切さが分かります。SBIの解説

株式のチャートでも、過去に止まった水準を観察する考え方は使えます。ただし1万ドルの算数を、そのまま100株の取引へ移せません。取引時間、値幅、注文の単位や費用が違うためです。同じ形を見つけたら、まずその商品の一回分の損益に計算し直します。

線は後から正解にしない

練習では、画面の右側を隠し、そこまでの高値と安値だけで線を引きます。線を引いた時刻、使った時間幅、越えたと考える条件、見送る条件を書き、その後を15分ずつ開きます。外れたら線を消すのではなく、外れた例として残してください。

「もっと広い幅で見れば止まっていた」と後から変更すると、どんな結果も説明できてしまいます。見直すなら次の観察から新しいルールにし、以前の記録は残します。目標は完璧な線探しではなく、同じ判断を繰り返せるようになることです。

まとめ:止まる道と抜ける道を同時に用意する

支持と抵抗は、過去の折り返しから現在の注目場所を整理します。線で反転する場合も、抜けて役割が変わる場合もあります。確認の時点、取り消す価格、数量と費用を一組にすると、見た目の印象を円額の判断へ近づけられます。

次は、線を一本だけ引いて記録する

まずはで水平線を一本引き、終値が越えた例と戻った例を集めてみましょう。比較ページでは、水平線の描画、時間幅の切り替え、最小取引数量、スプレッドの条件を確認し、自分の練習を続けやすい環境を選んでください。