押し目買いで大事なのは、「下がったから安い」と飛びつくことではなく、上昇が続くと考える理由と、外れたときの出口を先に決めることです。トレンドラインは、その理由を線で整理する補助道具。線に触れた価格で必ず跳ね返るわけではありません。架空のドル円で、線の引き方と利益・損失を一緒に確かめます。
押し目とは、上り道での一時的な下り
とは、価格が全体として上がる途中で、一時的に下がる動きです。山道を登る途中にも、小さな下り坂があります。その下りを過ぎてまた登るなら、頂上へ向かう途中の休みだったといえます。しかし、実際に歩いている最中は、その先が登りか、ずっと下りかは分かりません。
相場でも同じです。上がった後の値下がりは、押し目の候補にも、長い下落の始まりにもなります。下がっているという事実だけで、買う理由はそろいません。まず、直前の山の高さと谷の高さが、ともに少しずつ上がっているかを見ます。山が高値、谷が安値です。
SBI FXトレードの公式解説では、押し目買いの前提として上昇トレンドを見極めることや、安値同士を結んだ線の利用を説明しています。「下がったら何でも買う」という意味ではないと、読み分けましょう。
トレンドラインは、選んだ二つの谷をつなぐ
は、価格の山同士や谷同士を結ぶ斜めの補助線です。上昇を見る場合は、切り上がる二つ以上の安値を結びます。下降を見る場合は、切り下がる高値を結びます。上昇用の線は、次の押し目で価格を観察する場所の候補になります。
例えば架空の1時間足で、2本目の終値が150.00円、6本目が150.10円という谷だったとします。どちらも前後の終値より低いと確認してから結びます。谷の確認には後の1本を使うため、2点目の線を引けるのは、7本目が終わった後です。6本目の最中に、確定した谷を知っていたことにはできません。
この二点の価格差は0.10円、間隔は4時間です。したがって線は1時間に0.025円ずつ上がり、10本目では150.20円を通ります。ここへ価格が近づいたら、上昇が戻るかを観察できます。この傾きは選んだ二点から計算した値で、将来も同じ速さで上がるという予測ではありません。

図1:独自に作った架空の終値。1本は1時間。黄色が価格、紫が二点を結ぶ線です。7本目の終了後に線を延ばし、まだ起きていない10本目の谷を線の根拠にしていません。
同じ画面でも、線は一つに決まらない
ローソク足の一時的な最安値を使うか、終値を使うか。直近の小さな谷を選ぶか、数日前の大きな谷を選ぶか。選び方で線の場所は変わります。図1では説明を簡単にするため終値を使いましたが、これが唯一正しい方法という意味ではありません。
紙の地図に自分で道を描くのに似ています。分かりやすい道筋にはなっても、道路そのものがそこに生まれるわけではありません。価格が線を少し下回ってから戻ることも、線に届かず上がることもあります。線を割る動きを見ても、それだけで長い下落への転換が確定するわけではありません。
OANDAの押し目を考える公式記事でも、線の手前や少し行き過ぎた場所で反転する場合があると説明しています。記事の図の形を、そのまま毎回の成立条件に置き換えないことが大切です。
練習のルールには「終値で二つの谷を選ぶ」「谷の両側の1本を見て確認する」などと書きます。うまくいかなかった後だけ線を引き直すと、失敗した理由が消えます。最初の線も保存して、選び方が結果へどう影響したかを比べてください。
2,000円を狙うとき、何円を失う可能性がある?
ここからは実績ではなく、当日中に終了する架空の計画です。口座の元手は10万円、数量は1万ドル。150.20円で買い、150.40円で売れたら、値幅は0.20円です。0.20円×1万ドル=2,000円。別途の手数料を仮に1往復200円とすると、残る利益は1,800円です。売値と買値の差であるスプレッドは成立価格に含め、別途の手数料だけを引く例です。
反対に150.10円へ下がって終了できたら、値幅の損失は1,000円。費用200円を加えた損失は1,200円です。金利の受け払いと税金は入れません。二つの終了価格は損益を比べるための仮定で、図の線から自動的に出る正解ではありません。

図2:独自の架空計算。数量1万ドル、当日終了、別途手数料が1往復200円。目標価格・終了価格で成立するとした場合です。線が支えになる確率や、実際の利益を示す図ではありません。
取引全体の金額は150.20円×1万ドル=150万2,000円で、元手10万円に対して約15倍です。小さな値幅でも円の損益が大きくなる理由は、この数量にあります。同じ価格で1,000ドルなら、値幅による損益は10分の1です。費用は業者の計算条件へ合わせて見直します。
の注文を置いても、急な動きでは予定価格を飛び越えて成立することがあります。1,200円は損失の上限ではありません。線の近さを理由に数量を増やす前に、価格が想定を超えて動いた場合も考えましょう。売買を見送る判断も選べます。
実際のケース:OANDAのマニュアルで線の操作を確かめる
OANDAが公開するTradingView操作マニュアルの第2章には、左側の描画メニューからトレンドラインを選び、ドラッグして描く方法が載っています。描いた線の移動や複製も説明されています。これは実在する取引ツールの操作例です。
学べるのは、線を表示し、位置を調整し、比べる具体的な方法です。このマニュアルには、この記事の150.20円で買う計画の利益が証明されているわけではありません。紹介したのは公開資料の内容で、この記事で実際の口座へログインして操作確認したという意味でもありません。
自分の画面で試すときは、通貨ペアと時間足をそろえ、線を描いた日時を控えます。1時間足では上り道でも、日足では大きな下りの一部という場合があります。違う時間足で見つけた安値を、同じ線の根拠として混ぜないようにしてください。
記録には、線から反発した例だけでなく、下へ抜けた後すぐ戻る「だまし」も残します。例えば終値で線を下回ったら終了するのか、直前の谷を下回るまで待つのかで、待つ時間と損失の幅は変わります。どちらがよかったかを結果を見てから選ぶと、最初から判断できたように見えてしまいます。
急いで正解を一つに絞る必要はありません。最初に決めた一つの方法で、同じ時間幅の例を並べることが練習になります。観察できる時間がない日は、売買しないと決めておくのも具体的なルールです。
まとめ:線より先に、判断の約束を作る
トレンドラインは、選んだ過去の谷や山を結ぶ観察の道具です。押し目の候補は見つけられても、反発は保証しません。選ぶ点、確認する時刻、買う条件、取り消す条件、数量と費用まで書くと、線の印象を具体的な計画へ変えられます。
次は、未来を隠して線を一本引く
過去のチャートの右側を隠し、その時点で確認できた二つの谷だけを結んでください。次の数本を開き、反発、通過、届かなかった例を残します。で注文も練習し、比較ページでは描画機能、最小取引単位、費用を見比べましょう。